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このシリーズはずっと読んでいて。今回も間違いなく良かった。
特に印象に残った場面。
◎全身をガンに侵されているかっちゃんが、すごくつらい治療(効くのか効かないのか誰にもわからない…多分効かない…)のための2か月の入院を終えて上京する。久しぶりの再会を喜びながらも不安に泣くサイバラに、かっちゃんが優しく「人生は文句を言うためのもんじゃない」と言う。そして、サイバラが作って持ってきた、かっちゃんの好物ばかりのごはんを食べる。かっちゃんが料理に箸をのばす様子に喜ぶサイバラの顔がかわいい。後半、オチ的なエピソードもあるのだけれどそれはサービスで。
◎かっちゃんの食べかけのチョコレートをサイバラが奪う。
「そんなことしてうまいかー」
「うまーい。かつやの食べかけだからおいしい」
…その後の別の日、かっちゃんから、「前においしいって言ってたから、また持ってきた」と、先日と同じ箱のチョコレートをもらうサイバラ。わざと食べかけの状態にしていたかっちゃん。
◎クマガタ(クワガタ=サイバラ)とカツヤムシ(カブトムシ=かっちゃん)のマンガ。
森の奥でひとりで迷子になったクマガタが、ちょっとウソ泣き混じりでおんおん泣いている。安心して泣いているのは、カツヤムシが大慌てで探してくれるのを知っているから。「まってればきっとみつけてくれる」。そして確信していたとおり、カツヤムシは探しに来てくれて、みつけてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれる。「それはあまくてしょっぱいはちみつかけのピザのあじ」とのこと。
…「あまくてしょっぱい」ですか?「まってればきっとみつけてくれる」なんて、絶対的な肯定感。しょっぱさ要素どこにある?天国のお菓子の甘さでしょう…。いや、そんなふうにしてもらえることが当たり前でも永遠でもないと知っているから、少ししょっぱいということなのかも。
◎中高の同窓会に、サイバラは行かないつもりで、「誰も自分になんか会いたい人いないと思う」「卒業してないし」といじけていたのだが、かっちゃんに、「こっちを向いてちゃんと聞いて。人生がとっても短いのはよく知ってるよね」と諭され、急遽、高知に帰って出席する。
東京でお金持ちの有名人になったサイバラだけれど、かつての同級生は皆、昔のまま「りえこバカやったがやー」と盛り上がり、「あたしらあはいつでも食べれるき、高知のうまいもん全部食べていきやー」と料理や酒を勧める。昔、よく髪を結ってくれた友だちが、サイバラの髪をなで、「この髪ようくくったちゃ」と言う。1年間病気で寝たきりだったとのことで、ちょっと疲れているというか、老けて描かれているその人は、もう少女の頃の美髪ではないのだけれど、「今日はりえこが来るゆうき美容院でヘアカラーしてきたで」と笑う。夜中まで飲み歩き、皆が、りえこーまた飲もうでー、りえこーまた帰ってきいよー、と言ってくれるのだ。
そして「帰ったらかつやに話さないと。たのしかったって」と心に思うサイバラ。何という幸福感。
